うつ病克服体験記

いとこが患ってしまったうつ病

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うつ病の方への接し方には、いつも頭を悩ませます。相手のペースに合わせてはこちらが疲れてしまいますし、かといってこちらがそっけない態度をしては相手を傷つけてしまうからです。程よい付き合い方とはどういったものなのか、私にはわかりません。
私の親族にうつ病を患っている人がいます。それはいとこで、私より3歳年上の男性です。うつ病ですから、日によって妙に明るいときがあれば、落ち込んでいるときもあります。彼のテンションの落差についていくのは大変なことなのです。

うつ病によって離れた距離

友達

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いとことは子どもの頃からよく遊んでいました。お互いに家が近いこともあり、それこそ兄弟のように仲が良かったのです。
そんな関係に亀裂が生じ始めたのは、彼が中学生の頃でした。どうやら学校でいじめを受けていたらしいのです。徐々に学校を休みがちになり、最終的には不登校になりました。
そのことを母から聞かされた私は、何度も彼を励まそうとしました。しかし、家を訪れて話をしようと思っても、体調が悪いからと会えずじまいに終わることは1度や2度ではありません。そんな日々が続くようになり、私は彼と疎遠になっていきました。

彼はなんとか中学校を卒業できたのですが、高校には進学しませんでした。一日中へやに引きこもり、親子の会話もほとんどなかったと聞いています。時々かんしゃくを起こして物を壊したりすることもあったそうです。そんな彼を心配していたものの、怖い存在にも感じ、私から会いにいくということはしませんでした。

うつ病という診断と周囲への影響

手元

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そして彼は病院でうつ病と診断され、そのまま通院することになりました。症状が良くなることもあったのですが、しばらくすると感情の起伏が激しくなるようでした。結局は、病院に行くことも拒否するようになり、うつ病が改善されることはありませんでした。夜中一人で家を抜け出して行方不明になり警察沙汰になることもあったのです。

彼の親である伯母は、よく私の家を訪れて悩みを相談していました。顔はやつれ、心身ともに疲れているのはひと目でわかります。彼とどう接すればいいのかわからないと涙を流すこともあったのです。私も両親もうつ病という言葉は知っていても、詳しいことはわかりません。大したアドバイスもできずに、心を痛めていました。

いとこと久しぶりに会ったのは、私が高校を卒業する間近のことでした。突然、ひとりで自宅を訪れてきたのです。数年ぶりに見る彼は、髪の毛が伸びっぱなしでした。頬もこけて、食事を満足にとっていないのは明らかです。
しかし、私にはそれでもうつ病が改善されたのではないかと思いました。というのも、受け答えははっきりとしていて時折笑顔も見せていたからです。外出もちゃんとできるようになり、これからはちゃんとした生活が送れるはずだとうれしく感じました。
しかし、それは私の一方的な考えでした。彼のうつ病は、まったく完治されていなかったのです。

未だに見えてこない「解決策」

ベンチ

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その日を境に、彼は度々私の家を訪れるようになりました。それも夜中なのです。玄関先で母が対応して、夜も遅いからと帰したのですが、それでも彼は自宅にやってきました。
私の家は一軒家です。2階が私の部屋だったのですが、夜寝ていると窓にコツコツと何かが当たる音が聞こえてきます。そっとカーテンを開けて様子を伺っていると、窓に当たっているのは小石でした。家の外から誰かが投げているのです。その誰かというのもすぐにわかりました。うつ病を患っている彼です。私の名前を呼んでは、家にいれてくれと頼んできます。さすがに怖くなって、彼が諦めて帰ってくれるのをただ待っていました。

そんな日が続いたかと思うと、また一日中部屋にこもりきりになるようです。時には手首を切って自殺未遂を起こしたこともありました。彼に対して、私たち家族はまるで腫れ物に触るような扱いです。なるべく機嫌を損なわせないように優しく接するように心がけました。

その後、私は大学進学のために上京し、卒業後はそのまま東京で就職しました。仕事で忙しい日々を過ごし、いとこのことなど頭から離れていました。
社会人となって3年経った頃のことです。実家の母から連絡がありました。いとこが私の連絡先を知りたがっているというのです。私は正直いうと教えたくありませんでした。何か面倒なことになりそうな気がしたからです。しかし、教えなかったことがきっかけでまた自殺未遂でも起こされたら、それこそ大変なので、パソコンのメールアドレスだけを伝えることにしました。

それからというもの、今日に至るまで、ほぼ毎日のようにパソコンにメールが届きます。その内容は支離滅裂なことばかりです。たとえば、夜ご飯がカレーだったと書いていたかと思えば、次の文章には今の日本は間違っているとか罵詈雑言が書かれています。話が二転三転するのです。そのようなメールがくるたびに返信に困っています。なんという言葉を彼に伝えればいいのかわからないのです。
しかも一通返せば、エンドレスのようにメールが続きます。なかなか眠ることができません。

この先も彼にメールの返信をし続けなければいけないのかと思うと、気が滅入ってしまいます。しかし、私が返さないとまた彼も落ち込むことでしょう。私もうつ病にならないように気をつけながら、彼にメールを返し続けるしかないのです。

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