うつ病検査について。診断やチェックの内容は?

近年は学校や仕事、私生活のストレスの増加に伴いうつ病を発症する人が増加しています。以前までは「大人の病気」であったうつ病も、SNSなどのコミュニケーションツールの台頭や情報量の増加によって中高生などの若い年齢でもうつ病を発症するケースも多く見られます。そんな中現在注目を浴びているのが「うつ病の検査や診断の仕方」です。

うつ病自体自覚しづらいものなので、自分がうつ病なのかも知れない…、と思ってもどうやってそれを確かめて良いのかがわからず、症状が悪化していってしまう方も多くいます。今回はそんなうつ病検査について、どのようなものがあるのかまとめていきたいと思います。

そもそもうつ病とは?

うつ病の男性

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うつ病とはそもそもどういったものなのでしょうか。検査をする前に、自分に当てはまる症状や原因などを確認していきましょう。

うつ病の主な症状

【精神的な症状】

抑うつ気分・・・これはうつ病でも広く知られている症状ですが、気分の落ち込む症状です。憂鬱な気持であったり悲しい気持ちに常になってしまったり、未来に対してなんの希望も持てなくなるなど、悲観的な気持になる事が多いです。他にも、「自分はダメな人間だ」「見た目など人に劣っている」など、自己を否定するような気分になる人もいます。

思考力の低下・・・これは不安な気持ちがある時にもよくみられがちな症状で、落ち着きがなくなり、一つの物事にずっと集中する事が出来なくなるというものです。注意力が低下して、仕事や勉強などの作業能率が落ちてしまう為、それが原因で仕事などがうまくいかなくなり、悪循環に陥ってしまう可能性もあります。

意欲の低下・・・これは何事にもやる気が起きなくなり、何をするのもおっくうになってしまうような症状です。仕事のみならず日常生活においての起床や炊事洗濯など、些細な作業ひとつも面倒になってしまう事もあります。周囲にうつ病だと理解されていない場合、これが悪化すると「怠けている」「不真面目」のような目で見られてしまい、自己嫌悪や周囲への不満など、うつ病の改善に悪影響を及ぼすこともあります。

喜び、楽しみの喪失・・・これはそのまま、喜んだり楽しんだりする気持ちがなくなってしまう症状です。昔は楽しいと思えてた様な物事に対しても楽しいと感じなくなり、友人などと一緒にいてもつまらなく感じてしまったりもします。また喜びや楽しみだけでなく、なにに対しても興味を持てなくなってしまうという一面もあります。これが意欲の低下などと繋がり、外に出る事すら無くなってしまう事もあります。

【身体的な症状】

睡眠障害・・・これは夜眠れない・寝付いてもすぐに目が覚めてしまう・何度も目を覚ます・よく眠れた気がしない、など睡眠に関しての症状です。これに関連して、逆に寝すぎてしまうような症状もみられます。

食欲低下・・・普段より食欲が低下します。以前好物だったものでも感動を覚えないようになってしまい、何を食べてもおいしいと思えなかったり、それが原因で栄養不足や体重の低下に繋がっていきます。逆にお菓子やデザートなど甘いものばかり過剰に摂取してしまい太ってしまうケースもあります。

疲労感・・・これは慢性的に身体がつかれているように感じる症状です。普段からからだをだるいと感じたり、常に疲れがとれない・動くとすぐに疲れてしまう、などが挙げられます。

 

上記がうつ病の主な症状例ですが、他にも生理不順や性欲の低下などのホルモン系の症状や、頭痛や吐き気・めまい・動悸・ふらつきなど身体的にわかりやすい症状が出る人も多くいます。症状もかなり個人差があり、ひとによって違ってくるので、いくつか当てはまるようであれば病院などで検査をしてみましょう。

 

うつ病の主な原因

うつ病の原因は主に身体的・精神的なストレスによるものが大きいとされています。なににストレスを感じるかは個人差もありますが、仕事での悩みや人間関係、もしくは暑さや寒さなど環境的なものも含めて社会にはたくさんのストレス要因があります。

また、不眠症などからうつ病を併発する人はとても多く、自覚症状があまりなかったとしても、最近眠れないな、と感じたら可能な限りこころとからだを休めるようにするべきでしょう。

もちろん個人の性格によってもうつ病になりやすい人というのは存在します。一般的には、責任感が強くまじめであったり、周囲からの目を気にしやすい人・人当たりの良い人・周囲からの評価が高い人などはうつ病になりやすい傾向があると言われています。

うつ病検査・うつ病診断について

うつ病検査

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うつ病検査も現在では医療の発展とともにかなり進歩しています。もちろんちゃんと診断しようとする際はまずは病院で診てもらう事をお勧めしますが、今ではインターネットなどでも無料でうつ病チェックやうつ病診断が出来るようになっています。

もしいきなり病院に行くのが不安だという方は、まずそういったサイトでどの程度自分がうつ病の可能性があるのか、目安として確認してみるのも良いでしょう。ただ、インターネットでの簡易診断などの結果はもちろん確実性は高くないものになりますし、アンケート形式の質問であなたの精神状態がすべてわかるわけでもありません。最終的には医療機関で先生と相談し、うつ病改善を進めていきましょう。

診断内容としては、病院によっては血液検査や血圧・体重測定など身体の異常を調べてからになりますが、メインはやはり問診になります。うつ病は個人差もあり精神的な部分も大きい為、身体的な病気と比べて診断基準が明確ではありません。

現在日本では診断の基準として、アメリカ精神医学会による「DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル」と世界保健機関(WHO)による「疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10版」という2つのものをつかっています。

例えばDSM-5の基準について挙げてみると、下記の9つの症状のうち1または2を含む5つ以上の症状があり、なおかつそれが2週間以上続いている場合に「うつ病」と診断されることになります。

 

  1. ほとんど毎日、1日中ずっと気分が落ち込んでいる。
  2. ほとんど毎日、1日中ずっと何に対する興味もなく、喜びを感じない。
  3. ほとんど毎日、食欲が低下or増加し、体重の減少or増加が著しい。
  4. ほとんど毎日、眠れない、もしくは寝すぎている。
  5. ほとんど毎日、話し方や動作が鈍くなったり、イライラしたり落ち着きがなくなったりする。
  6. ほとんど毎日、疲れやすかったり、やる気が出なかったりする。
  7. ほとんど毎日、自分に価値がないと感じたり、自分を責めるような気持になる。
  8. ほとんど毎日、考えがまとまらず集中力が低下して、決断できない。
  9. 自分を傷つけたり、死ぬことを考えたり、その計画を立てる。

 

いかがでしたでしょうか?

今までの問診の問題点としては、うつ病の診断を受けても当人の自覚がなかったり、当人の納得感があまり得られないなどや、いわゆる「仮病」だったとしても、医師側でその判断が難しく、誤診を招いてしまう可能性がある事などでした。

生活保護受給者などが生活の為にうつ病をよそおっていた、というケースも最近ではみられるようです。

 

光トポグラフィー検査

メーター

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そういったうつ病診断の基準の不明瞭さをある部分で解決し、明確な指標として提示した事で話題になっているのが「光トポグラフィー検査」というものです。

ただ、最初に述べておくと、これは「うつ病なのかどうか」を検査するものではなく、うつ病の疑いが極めて強い場合に「抑うつ状態の原因が何なのか」を検査するものになります。なのでこれは初診時に用いるような検査ではありません。

光トポグラフィー検査の様子

(引用元:DIAMOND 男の健康)

さて、この光トポグラフィー検査ですが、患者は上の画像のように、頭部に機器を装着し、医師の質問に患者が返答していく事で進めていきます。その際の脳内の血液の流れを計測し、抑うつ状態の原因を「大うつ病性障害」「双極性障害」「統合失調症」の3つから分析できます。

光トポグラフィー資料

(引用元:医療法人 しもでメンタルクリニック)

もちろん健常者の状態とは異なった結果が出てくる為、本当にうつ病なのかどうか、も数値やグラフで客観的に判断出来ます。医師にうつ病と診断されても本当か信じられない場合は、こういった検査を利用して実際の画面で目の当たりにすれば実感もしやすいのではないでしょうか。

費用としては一般的に10000円~15000円ほどで利用する事が出来るので、これを高いと判断するか安いと判断するかは人それぞれですが、個人的にはしっかりとデータが確認出来る機会が得られる事を考えると高くはないと思っています。

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