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抗うつ薬ではない? 知っておきたいデパスの効果とメリット・デメリット

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みなさん、デパスって知っていますか? もしかすると過去に病院で処方されたという人もいるかもしれませんが、デパスのことをよく知らない人は「デパス=抗うつ薬」と思っている人もいるようです。しかし、本当にそうなのでしょうか? 今回はデパスは何の薬で、どういう効果があるのかお話します。

 

 

デパス錠は抗うつ薬ではなく、抗不安薬

私たちは病院から処方される薬に対しての知識が低く、医者から処方された通りに薬を飲むのがふつうだと思います。

デパスに関しても、どのような薬なのか詳細を知っている人はほとんどいないでしょう。そのため処方された人のなかには「これは抗うつ薬なのでは?」と心配になる人もいるようです。

まず初めにお伝えしておきたいのは、デパスは抗うつ薬には分類されていません。

では一体、何なのかというと、デパスは「抗不安薬」に分類されています。

ただし、勘違いして欲しくないのはデパスはうつ病の患者にも処方されることが多い薬です。そのためデパス錠を抗うつ薬と勘違いしている人が多いようです。

 

 

そもそも抗不安薬とはどんな薬なのか?

デパスが抗うつ薬ではなく、抗不安薬に分類されていることがわかっても、そもそも抗不安薬がどういうものなのか理解していない人が多いのではないでしょうか?

抗不安薬とは名前の通り、不安や緊張を和らげる作用がある薬です。もちろん気軽に使えるような薬ではなく、どうしようもない(日常生活に支障をもたらすレベル)ほどの不安や緊張がある場合に使います。

例えば、あまりにも強い不安が身体を襲い、夜も眠れないような状態のときや、不安や緊張で動悸・めまいが起こるなど、これぐらいひどい状態のときに飲むような薬です。

仕事での商談前の緊張をほぐすために飲んだり、コンクールの発表前の不安を和らげるために飲むような薬ではありません。

 

 

知っておきたいデパスの3つの効果

では、デパスはどのような効果があるのでしょうか?

 

<抗不安作用>

デパスは”抗不安作用が強い”薬です。不安や緊張した状態から精神を安定させ、即効性もあることから効果を実感しやすい薬といえます。

実はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)にも不安に対しての効果はあるのですが、即効性はなく、効果を実感するには時間がかかります。そのため薬を飲んでから効果を実感するまでが早いデパスがうつ病の患者にも使われることがあります。

 

<睡眠効果>

デパスは睡眠薬としても使用される薬です。抗不安作用と同じように即効性があり、寝る前の不安な気持ちを解消してくれるため、なかなか眠ることができない人は高い効果を実感することができます。

しかし、即効性はあるものの、持続時間が短いのがデメリットです。寝つきが悪い人には効果的ですが、しっかりと長時間、眠りたい人は薬の効果が途中で切れて、起きてしまうことがあります。

 

<筋弛緩作用>

筋弛緩作用とは文字通り筋肉を緩めてほぐす作用のことです。ひどい肩こり・腰痛が見られる患者はデパスを服用することで症状が和らぐ効果があります。そのため抗不安薬のイメージが強いデパスですが、肩こり・腰痛がひどい人にも処方されることがあります。

 

 

デパスは様々な疾患に使われる万能薬

先に説明したようにデパスは抗不安作用だけでなく、睡眠効果や筋弛緩作用もある薬です。もちろんうつ病における不安・睡眠障害を解消させるために処方されることもありますが、それ以外にも下記の疾患で処方されることがあります。

  • 統合失調症
  • 神経症
  • 心身症

このようにデパスはうつ病の患者だけに処方されるような薬ではありません。

 

 

デパスは短時間型の抗不安薬

デパスを含め、世の中にはたくさんの種類の抗不安薬があるのですが、実は4つの種類に分けることができます。

  • 短時間型
  • 中間型
  • 長時間型
  • 超長時間型

薬を服用してから血中濃度がピークになり、その後、血中濃度は時間が経つにつれ薄まっていきます。この血中濃度がピークになってから徐々に薄まり、体内の血中濃度が半分になるまでを”半減期”と呼びます。

上記で挙げた「短時間型・中間型・長時間型・超長時間型」というのは、この半減期によって分類される時間です。

では、デパスがどの時間型に当てはまるのかというと、デパスは”短時間型”になります。

具体的な時間を示すと、デパスを服用してから血中濃度がピークに達するのが約3時間、そして半減期が約6時間と言われています。

そのためデパスは先に挙げた「抗不安作用・睡眠効果・筋弛緩作用」の効果を服用してから早い時間で実感したい人に向いている薬だと言えます。

しかし、半減期が6時間というように効果を実感できる持続時間は短いです。

 

 

デパスがハイリスク・ハイリターンとよく言われる理由

デパスはハイリスク・ハイリターンの抗不安薬とよく言われるのですが、これはどういうことなのでしょうか?

これまで説明したように、デパスは「抗不安作用・睡眠効果・筋弛緩作用」の効果が強い薬です。そのため効果を実感しやすいのですが、睡眠効果・筋弛緩作用の効果が強いばかりに、身体のふらつきや転倒してしまう人もいます。とくに高齢者が服用するのには十分に注意しなければいけません。

また、即効性があると言われるデパスですが、服用してから血中濃度がピークに達するのが3時間だとすると、決して早いとは言えません。

もちろん、20〜30分で効果を実感する人もいるのですが、デパスよりも血中濃度のピークが早く達する抗不安薬は実際にあります。(例えば、レキソタン・セルシンなどは約1時間で血中濃度がピークに達すると言われています)

さらに短時間型のため、効果が作用している持続時間が中間型・長時間型・超長時間型よりも短いです。

「効果が強い →だけど、すぐに効果が切れてしまう(短時間型のため持続時間が短い) → また薬を服用してしまう」

このように依存性が高い薬ともいえます。

 

 

デパスのメリット・デメリット

最後にデパスのメリット・メデリットをおさらいしましょう。

 

<デパスのメリット>

  • 抗不安作用が強く、不安や緊張が強い人でも効果を実感しやすい
  • 不安や緊張を和らげるとともに睡眠効果もあるため、入眠しづらい人に向いている
  • 筋弛緩作用により、肩こり・腰痛に悩んでいる人にも適した薬である

 

<デパスのデメリット>

  • 効果が強く、各作用を実感できる持続時間が短いため、依存性が高い
  • 入眠しづらい人には向いているが、薬の効果時間が短いため、長時間しっかり眠りたい人には向いていない
  • 筋弛緩作用が強く、ふらつきや転倒してしまうことがある

 

どの薬にもメリットもあればデメリットもあります。とくに効果が強いデパスに関しては、本当に自分に合っている薬なのかどうか、しっかりと判断する必要があるでしょう。そのためにも担当医とは自分の体調・薬の副作用について細かく相談するべきです。

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