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投薬治療だけじゃない!? 薬を使わないでうつ改善は可能なのか?

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うつ病の治療方法といえば、投薬療法を思い浮かべる人が多いと思うのですが、うつ病の治療方法には投薬療法以外にも方法があります。では、薬を使わないでうつを改善する方法とはどのようなものがあるのでしょうか? 今回はうつ病改善に薬を使わないことのメリットやデメリット、そして治療方法についてお話していきます。

 

薬を使わないことの大きなメリットは副作用がないこと

そもそもうつ病の投薬療法で使われることが多い、抗うつ薬や睡眠薬を使わないことにメリットはあるのでしょうか? メリットがなければわざわざ薬を拒否する必要はありませんよね。

うつ病の改善方法で薬を使わないことには主に下記のメリットがあります。

 

  • 薬の副作用がない
  • リバウンドしない(薬をやめると元に戻ってしまうということがない)
  • 薬漬けになる心配がない

 

上記の3つのなかでも、もっとも大きなメリットは1番目の”薬の副作用がない”ことでしょう。

しかし、うつ病に一度もかかったことがない人は薬の副作用がどれぐらいつらいものなのか、わからない人も多いと思います。

そこで私自身の体験談を今からお話します。

 

眠気・動悸・だるさが1日中、繰り返し身体を襲う

私が投薬療法をしていたときに服薬していたのは「リフレックス錠」と「ゾルピデム酒石酸塩錠」の2種類です。前者が抗うつ薬で後者が睡眠薬になります。

下記は私が主に感じた薬の副作用です。

 

  • 眠気
  • 動悸
  • だるさ

 

こうして箇条書きに並べても、どれぐらいこの副作用がつらいのか、いまいちピンとこない人が多いと思います。

例えば1番最初に挙げている眠気。

眠気というのは生きていれば誰もが何度も経験するものですよね? そのため「眠気くらい大丈夫だろう」と考える人がいるのですが、体調が問題ないときに起こる眠気と薬の副作用による眠気はまるで違います。

体調に問題がないときの眠気は眠気がきたあと、そのまま睡眠をとれば起きたあとの身体は回復し、頭もすっきりしていると思います。

しかし、うつ病のときの薬の副作用での眠気は眠ったあと起きても頭がすっきりしません。

 

「なんか頭のなかが重たい……」

「長時間、寝たはずなのに頭がすっきりしない」

「全身がだるい」

 

このようにしっかり眠ったとしても、眠気とだるさが常にあるのです。

さらに私の場合は動悸が激しく、ふつうにベッドで横になってリラックスしている状態にもかかわらず、突如、動悸が激しくなることがありました。

私はこの、眠気・動悸・だるさの3種類の薬の副作用とひたすら戦っていました。

例えばですが、みなさん40℃近くの高熱の風邪をひいたことがありますか? 私は過去に経験があるのですが、正直言って40℃近くの高熱よりも、うつ病のときの薬の副作用のほうがきつかったです。

いくら高熱の風邪とはいえ、1日のうちでつらいときと楽なときが存在すると思います。

しかし、うつ病の薬による副作用ではそのような波はありません。ほぼ、1日中なんとも形容しがたい苦痛と不快感が全身を包みます。唯一、少しだけ楽になるのが夜で、私の場合は朝から夕方まで、ずっとつらかったです。

また、高熱の風邪といっても、きちんと薬を飲んで身体を休めれば、日ごとに身体が楽になっていく感覚がわかると思います。

この日ごとに身体が楽になっていく感覚があるかないかというのは非常に重要なポイントで、人は治っていく感覚を実感できないと本当にしんどいのです。

うつ病は短期間で改善できるような病気ではありません。とくに薬を飲み始めて1ヶ月以内ぐらいは副作用が強く出ます。

薬の副作用と戦いつつ、同時に「いつになったら自分は良くなるんだろう?」という不安とも戦い続けなければいけません。

うつ病の投薬療法の難しいところは、うつ病そのもののつらさとも戦わなければいけないのに、それに加えて薬の副作用とも戦わなければいけないことです。

この副作用のつらさに耐えることができず、担当医に黙って薬を飲まない人がいるのも珍しくありません。

 

薬を使わないで治す2種類の治療方法

<磁気刺激治療(TMS)>

「うつ病の治療 = 投薬療法」というイメージが定着しているような気がしますが、実はうつ病を改善するのには、投薬療法以外にも方法があります。そのひとつが”磁気刺激治療(TMS)”です。

まだまだ正確に原因が解明されていないうつ病ですが、昨今では”心の病気”ではなく”脳の病気”であると考えられており、うつ病の患者は脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっているのが原因のひとつと言われています。

磁気刺激治療は脳内にある背外側前頭前野(はいがいそくぜんとうぜんや)に磁気刺激を与えることで、脳の活動を回復させる治療方法です。

脳内に磁気刺激を与えると聞くと、怖いイメージを持つ人がいるかもしれません。ですが、治療中、ほんの少しの頭皮痛や歯痛はあるものの、投薬療法や電気けいれん療法に比べると副作用がなく、安全性が高い治療方法なのです。

 

<カウンセリング(精神療法)>

うつ病が発症してしまう原因は人によって異なりますが、そのうちのひとつがストレスだと言われています。

  • 職場環境によるストレス
  • 大切な人との死別
  • 結婚や出産したことによる将来への不安やプレッシャー

うつ病を発症してしまった場合、まずは何が原因だったのか、ということを突き詰めるのは非常に重要です。なぜなら原因がわからなければ、また再発してしまう可能性が高いからです。

例えば、職場環境がうつ病を発症したきっかけだったのに、投薬療法で体調が改善したあと同じ職場に戻ってしまえば、またうつ病を再発させてしまうかもしれません。

うつ病は再発率が非常に高い病気なので、治ってからの体調管理もとても大切です。

カウンセリングなどの精神療法ではうつ病が発症してしまったきっかけや、患者のストレスの原因と向き合うことで、うつを根本的に改善していきます。

投薬療法と同時進行でカウンセリングが行われることが多いですが、薬を使わず、カウンセリングだけでうつを改善できるケースも珍しくありません。

 

個人個人によって最適な治療方法は違う

今回は薬を使わないことでいろいろなメリットがあることや、薬を使わない磁気刺激治療や精神療法についてお話ししましたが、勘違いして欲しくないことがあります。

それは”薬を使わない治療方法が最善であるということではない”ということです。

抗うつ薬や睡眠薬が使われるのは、ちゃんと効果があるから使われるのであって、副作用によるマイナス面だけではありません。

例えばカウンセリングによる治療方法であれば、定期的に通院しなければいけないですし、磁気刺激治療に関しても治療ペースはそれぞれ異なりますが、治療を受けに行かなければいけません。

投薬療法なら自宅で薬を飲むだけで済むというメリットもあります。

ただし、様々な治療方法があることを知っているか知らないかは大きな差です。とくに今回、お話しした磁気刺激治療はまだまだ新しい治療方法なので、知らない人も多かったのではないでしょうか?

薬に頼りきらず、自分自身が治したい!という気持ちがなければうつを改善するのは難しいです。

大事なのは”自分に合った治療方法は何なのか”ということを探し続けることなのです。

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