うつ病の知識

磁気刺激治療を行っているクリニックが少ない理由とメリット・デメリットについて

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うつ病の新しい治療方法として取り上げられている磁気刺激治療ですが、日本では磁気刺激治療を実施している病院・クリニックが少ないのが現状です。どうして磁気刺激治療を実施している病院・クリニックは少ないのでしょうか? 今回は磁気刺激治療を実施している病院・クリニックが少ない理由と磁気刺激治療のメリット・デメリットについて改めておさらいしていきます。

 

 

磁気刺激治療は未だに保険適用外の治療方法である

磁気刺激治療は医療先進国であるアメリカで生まれた治療方法で、アメリカ食品医薬品局(FDA)から、2008年に認可を得ています。

今は2017年。アメリカで認可されてから、すでに9年もの月日が流れようとしていますが、未だに日本では認可されていません。

そのため病院・クリニックでは、磁気刺激治療が”保険適用外”の自由診療なのです。

まだまだ日本では磁気刺激治療を知らない人も多いのですが、2012年にNHKで特集番組が放送されたことで、磁気刺激治療が日本でも注目を集めました。

しかし、まだ認可されていないこと、そして、2008年にアメリカで認可されているとはいえ、磁気刺激治療はまだまだ新しい治療方法です。

そのため、磁気刺激治療を実施している病院・クリニックの数が少ないのが現状です。

 

 

磁気刺激治療の2つのデメリット

保険適用外というのは患者にとって、やはり大きなデメリットです。

現在、主流である薬物療法の場合、当然、保険が適用されます。しかし、保険適用外の磁気刺激治療は例えば新宿ストレスクリニックの場合、1回で18,340円(税抜)かかります。(※2017年11月現在)

磁気刺激治療は患者の症状・状態・治療経過によって異なりますが、数回で済むということはなく、合計で20〜30回になる場合が多いです。

仮に磁気刺激治療を30回受けた場合、磁気刺激治療の治療費だけで550,200円(税抜)かかってしまいます。

また、磁気刺激治療を受けるためには通院しなければいけません。新宿ストレスクリニックでは週1回からでも可能なのですが、自宅治療が可能である薬物療法に比べると、やはり通院しなければいけないというのは、患者にとってデメリットになります。

 

「週1回でもいいのなら、時間的なデメリットはそこまでないんじゃないか?」

 

週1回という回数だけを見ると、確かにそこまでデメリットではないように感じるかもしれません。

しかし、最初に話したように日本ではまだまだ磁気刺激治療を実施している病院・クリニックが少ないのが現状です。

例えば新宿ストレスクリニックでは、本院がある新宿区、愛知県名古屋市にある名古屋院、大阪府大阪市にある梅田院の計3つのクリニックがあります。

もしもあなたのお住いが新宿区・名古屋市・大阪市のいずれかであれば、さほど問題はないでしょう。ですが、県外だとどうでしょうか?

仮に磁気刺激治療の回数が週に1回だとしても、通院するのは大変ですよね。さらに一般的な磁気刺激治療は治療計画として週5回、行うことになっており、実際にこの回数を適用している病院・クリニックもあります。

磁気刺激治療は1回の治療時間が約20〜40分と、治療時間そのものは短いものの、週5回ともなると、患者にとってはかなりの負担になります。

さらに病院・クリニックが遠方の場合は、治療を受け続けるのが非常に困難だと言えるでしょう。

新宿ストレスクリニックのように、患者の負担にならない治療回数を提案しているクリニックもありますが、そうでない病院・クリニックも存在します。

治療回数・期間に関しては、今後の課題とも言えるのです。

 

 

磁気刺激治療は仕事もしながら治療できるのがメリット

磁気刺激治療を受ける場合は、デメリットを踏まえた上で治療を受けるべきでしょう。では、どのような人が磁気刺激治療を受けるのに向いているのでしょうか?

  • 通院するクリニックが比較的、近くにある
  • 金銭的な問題がない
  • 勤務しながら治療を進めたい人
  • なるべく短期間でうつ病を改善したい人
  • 薬物療法や認知行動療法では自分が納得いく結果が出なかった人

意外と見落としがちなのが3番目の勤務しながら治療を進めたい人です。

実は薬物療法の場合は患者の症状の状態にもよりますが、最低でも一時的な休職、あるいはひどい場合ですと退職しなければいけないケースもあります。

できることなら休職したいが、そういうわけにもいかないという人も多いでしょう。

このようにうつ病であるにもかかわらず、仕事が忙しい人は薬物療法で治療をしながら無理して仕事を続ける人もいます。

しかし、薬物療法で服用することになる抗うつ薬と睡眠薬の副作用は、仕事を続けながら対応するのは非常に難しいです。

各クリニック・病院、そして患者の症状にもよりますが、磁気刺激治療であれば、忙しいビジネスマンでも治療をしながら仕事をすることが可能ですし、薬の副作用も心配ありません。

また、週5回のペースで治療を行った場合、約4週間〜6週間で治療計画が完了します。薬物療法の場合は、数年単位で治療を進めることが珍しくありません。

このように治療期間が短いことも磁気刺激治療の大きなメリットであり、自宅や職場の近くに磁気刺激治療を実施しているクリニックがある場合は、通院もしやすいやめ、忙しい人にとってはかなり有効的な治療方法と言えます。

 

 

磁気刺激治療は受けられる人と受けられない人がいる!?

忙しいビジネスマンでも仕事をしながら治療も進めることができる磁気刺激治療ですが、実は誰でも受けられるわけではありません。下記の状態である人は現状、磁気刺激治療を受けることができません。

  • 頭部に金属(クリップなど)が入っている
  • ペースメーカーを使用している
  • インプラントがある
  • てんかんの既往歴がある

上記のほか、18歳未満の人は治療が可能である場合とそうでない場合があるため、まずは相談・問診することが求められます。

また、病院・クリニックによっては適用基準というものが定められています。(※下記はあくまで一例です)

  • 治療を進めていく上で、支障になるような精神疾患がないこと
  • 発熱や栄養障害などがなく、身体の状態が良好であること
  • 透析療法中ではない人

どの病院・クリニックでも、磁気刺激治療の前に診察を行い、そこから治療プログラムを考えていきます。

また磁気刺激治療は完全予約制にしている病院・クリニックもありますので、まずは自分が通院しようと考えている病院・クリニックが磁気刺激治療をどのような流れで行っているのは確認する必要があるでしょう。

 

 

自分のライフスタイルに合わせた治療方法を検討しよう

これまでうつ病の治療方法といえば、投薬療法と認知行動療法が主流でした。とくに投薬療法が行われることがほとんどで、うつ病患者は治療方法についての選択肢が限られていました。しかし、磁気刺激治療を行う病院・クリニックが徐々に増えつつあることで、治療方法の選択肢が増えました。うつ病の治療を順調に進めていくためには、治療に専念することも大切ですが、治療プログラムが自分の今の生活に無理がないかどうかも確認すべきです。どの治療方法が今の自分のライフスタイルに一番合っているのかを検討し、もっともやりやすい治療方法を選ぶようにしましょう。

 

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