うつ病克服体験記

投薬治療がベストとは限らない。

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家庭環境の複雑さ、特に両親の不仲が原因で、17歳から精神不安定に陥り、心療内科や精神科の診断やカウンセリングを受け、出されたお薬を飲んでいました。
現在はさまざまな心理学のメソッドもあり、所謂国家資格や民間資格無しでも、多くの精神疾患の人達の症状を和らげている創始者の方がおられます。
しかし、今から20年近く前の、しかも地方都市での話なので、精神疾患に関する偏見や理解度は今と状況が違い、「特殊な人達がだけがなるもの」という感じでした。

私がうつ病になってから現在まで

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ネットも今ほど普及しておらず、病院に行って医者に罹るか、市販のうつに関する本を読むことでしか、情報を得ることはほぼ出来ませんでした。
そして、当時のその分野に関わる医者やカウンセラーの方々も、恐らくご自身に患者と同じような経験は無く、学問や研究の延長として業務に当たっておられるような方が多く見受けられました。
患者の目も見ず、どんな症状があるかだけを訊き、毎回どのような効果があるかを知って薬の量や種類を変えるだけで、診断時間も数分、といった感じでした。
カウンセリングも、明らかに面倒臭そうな対応をする人や、傾聴能力の欠片も無いような人が多く、日本のうつ病治療に関する医療機関にすっかり不信感を覚えてしまいました。
元々薬が効き過ぎる体質で、処方された薬を飲むと無気力感が増し、本当に寝ている以外何も出来なくなる自分が怖くて、抑うつ剤や睡眠導入剤に対する不安もあり、少しずつ飲まなくなってしまいました。
幸い、お笑い番組を観たり、好きな本を読んだりすることや、不登校になっても、仲の良い友達が家を訪ねて来て励ましてくれたりしたことで、何とか高校を卒業し、大学に進学することが出来ました。
ただ、うつが癒えた訳ではなく、諦めと絶望感の中で治療をせず、大量にお酒を飲むことで自殺願望や自己肯定力の低さから来る精神不安を誤魔化していた為、大学は中退しました。
パニック症候群も発症し、フルタイムで働く、長時間の残業や出張や転勤のある正社員にはとてもなれなかった為、非正規の職を転々とし、現在に至ります。
類は友を呼ぶ、と言葉通り、似たような状況の友達が多く、お互いに励まし合い、助け合いながら、何とか今日まで生き延びました。

まわりの友達もうつ病と戦っています

私よりも病状が深刻で、精神病院に入院して強い薬を長い間投薬され続けていた人や、発達障害で障碍者手帳を持ち、そこから来るうつの克服の為に大量の薬を何年も飲み続けていた人もいます。
私には強度の男性不信もあり、恋愛や結婚に至ることは出来ませんでしたが、上記のように酷いうつに苦しんでいた経験を持つ友達が自分の意思でうつを癒す覚悟を決め、自ら薬を減らし、今では全く頼らない生活をするようになったきっかけは、結婚をして家族を作ったことでした。
出来ちゃった結婚で子供の母親となり、うつになっている場合ではないと発奮して、今では立派な二児の母になっている人、経済的にもどん底に陥り、夫の協力を得てネットで見つけた心理学メソッドを勉強して仲間を作り、夫婦仲も劇的に改善し、現在妊娠して幸せになった人。
彼女達は口を揃えて、「入院や薬の大量服用をしたことを後悔している」と教えてくれました。
うつの一番の苦しみは、自分を好きになれず、存在していていいのだという価値を見出せず、消えて無くなった方が世の中の為になると思い込んで、自分で命を絶ってしまいそうな恐怖感と毎日戦うことに他ならないと思います。
自分を信じられないということは、他人をも信じられないということに等しいので、孤独感と不安感が全く拭えず、敵だらけの世の中で孤軍奮闘して、満身創痍で血を流しながら生きている状態なのです。
うつになる人は、自己評価は低い癖に、世の中の流れに自分をきちんと合わせることに必死になって、しかも自分の失敗を決して許せない完璧主義者が多いので、精神的に追い詰められて八方ふさがりになりがちです。
自分は不完全な人間で、誰かに助けられないと生きて行けなくて、失敗しても別に責任を取って死ななくちゃいけないってことは無い。
そこまで思えるようになって初めて、世の中はもっと楽しいもので、他人は実は優しくて、自分にも幸せになる権利があるのではないか、と思えるようになるのです。

これからもうつ病と向き合うために

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先日、前職がブラック企業で精神的に限界を迎え、十数年振りに心療内科の診断を受け、抑うつ剤と、副作用の少ない漢方の処方を受けました。
抑うつ剤はやはり体質に合わなかったのですが、幸運なことに漢方がとても効果があったので、今はこちらで精神状態を整えています。
もう一度医療に縋ろう、と決意する前に、私自身、色々と自力で学びました。
心理のこと、インナーチャイルドのこと、性愛のこと、トラウマのこと、お金のこと、自分を幸せにする為に地獄のような現状を打破する為に、したくない仕事をしてお金を必死で稼ぎ、お酒で体を悪くしながら、それでも必死で生きて来ました。
ブログやSNSで、自分のうつに関する投稿を繰り返し、同じ症状で苦しむ人や、実際の昔からの友達から励ましの言葉を貰ったり、誰にも話せないようなことを打ち明けて貰ったりして、今ようやく、自分は独りぼっちではない、という思いを噛み締めています。
うつを癒せるのは、周囲の温かい視線と、優しさと愛情、そして、その有難みにうつ病患者本人が気付けるか、というところに掛かっています。
世の中の流れに沿えるように自分を変えようと、殺そうと必死になるのではなく、自分には何が出来て何が出来ないのかを把握して、今まで嫌いだった「こんな自分」のまま幸せになれる道を探すことに必死になること。
他人からの評価だけに向けていた視線を、自分の心身に向けて、ちゃんと自分に向き合うこと。
自分で自分を愛そう、というスタートラインに立つまでに大変長い時間が掛かりますが、そこに達することが出来れば、例え大きな精神の変動の波が来ても、耐える自信が身に着いて来ます。
ここ最近ようやく、私もこの境地に達しました。
ブラック企業に勤め、本気で死ぬかもしれないと覚悟し、助かりたいと必死にもがいたことが功を奏しました。
お金も社会的地位も無いけど、私にはユーモアと体自体の頑丈さと、そしてうつで長年苦しんだ経験がある。
今からちゃんと自分を愛し、誰かを愛して、幸せになれます。
ここまで来るのに特に役立ったものは、心屋仁之助さんの心屋式メソッド、棚田克彦さんのビリーフチェンジセラピー、田中みっちさんの性愛セラピスト養成講座、そしてクローズドで匿名の人が集まるお話会やお茶会などでの様々な人との交流でした。
変わりたいと思った瞬間に選び取ったものが、その時は分からなくても、それが正解です。
うつにパニック症候群に不整脈に過呼吸にアルコール依存に苦しんで来た私だから分かります。
一番の薬は、自分の弱みを隠さず、無様で惨めで情けない姿を白日の下に晒すことでした。
素直に助けを求める人には、必ず何らかの形で救済があります。
これからも勇気とユーモアと優しさと愛を持って、うつと共存しながら、好きな人達に囲まれながら、一緒に幸せに毎日を過ごして行こうと心に決めています。

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