光トポグラフィー検査について

hikari_img01

かつて精神の病気であるとされていたうつ病は、今では脳の病気である。という事が医学的にわかっています。

「光トポグラフィー検査」は、その考えに基づき、うつ病患者の脳の状態を測定し、それを比較する事によって視覚的・数値的にうつ病を診断する事が出来る、現在世界で最新鋭の技術です。

 

以前までは医師の問診などでしかわからなかったうつ病双極性障害(躁うつ病)統合失調症の診断が、医学的・科学的な観点から出来るという画期的な検査で、日本国内でも導入しているクリニックはまだ多くないながらも非常に注目を浴びています。

 

ひとくちに「うつ病」といってもその原因や症状は様々。自分がうつであるという事を認められずに症状を悪化させてしまう場合もあります。

そんな中、光トポグラフィー検査では脳内の状態を可視化し、その測定の結果を健常者と比較する事によって、うつ患者側も自らの状況を客観的にみられる為、その後のうつ病治療を進める上での補助としても役立っているのです。

 

光トポグラフィー検査とは?

光トポグラフィー検査は、平成21年に厚生労働省に認可され一部の医療機関で使用されてきました。その後有用性・効果が認められ、現在では保険診療で受けられるようになっています。

実際の診療は「光トポグラフィー装置」という機械を用いて行われます。これは、近赤外光で脳内の状態を測定する機械で、うつ病治療以外にも様々なことに活用されています。

光トポグラフィー検査の診断グラフ

うつ病治療の場合、患者の脳の前頭葉の血流を光トポグラフィー装置で測定し、その状態を、

  • 「健常」
  • 「うつ病」
  • 「双極性障害(躁うつ病)」
  • 「統合失調症」

の4つにわけ、判定をします。

その結果と医師の問診などの情報をもとにうつ病に関する診断がなされます。

 

ただ、対象となる患者は、上記の全ての症状を対象とするものではなく、あくまで「うつ病」患者となります。

現在うつ病治療を受けている患者が「その他の病気(双極性障害・統合失調症など)」との識別をする為に用いられる検査方法となりますので、現在うつ病治療を受けていない方が受ける検査ではありません。

 

 

光トポグラフィー検査の方法

「光トポグラフィー検査」というとなんとなく大げさな検査のイメージをお持ちの方もいると思いますが、実際には検査はとても簡単なものになります。

光トポグラフィー

 

①     基本的にはまず担当医師からの簡単な問診があり、その後患者は「光トポグラフィー装置」を頭に装着し、実際の検査にはいります

②     検査中は医師の方から「”み”ではじまる単語を10個言って下さい。」のように、簡単な課題が出され、それにその場で答えていくというようなものになります。その時の脳内の血流を測定する事によって診断結果が出ます。

 

検査自体は20分~30分程度で終わる事がほとんどですが、事前の問診やクリニックによるカウンセリングなどを含めると変動してきます。

 

光トポグラフィー検査の効果・精度

光トポグラフィー検査の効果は様々な所で議論がされています。

もちろんうつ病の治療をするものではありませんので、「効果=判定の精度」ということになるのですが、全国の医療機関・研究機関の報告によると、6割~8割程度の精度で臨床診断を示唆する結果が出ています。

 

ただ、あくまで診断をする上での補助となるものなので、光トポグラフィー検査の結果のみで診断名が出たり病名が確定するようなものではありません。

 

光トポグラフィー検査を受けるだけでうつ病かどうかがわかる!という誤解をされている方がとても多いように思われますが、そもそも光トポグラフィーはすでにうつ病治療を受けられている方向けに使われている検査方法ですので、「うつ病治療がうまくいかない……」「ほかの病気なのではないか?」と悩んでいる方に「約7割くらいの確率で、〇〇(病名)ですよ」というようなものになります。

ですので、客観的に自分の状態を判断したり、治療の補助として活用する事はあっても、診断の結果を絶対として受け入れるべきものではありません。

 

光トポグラフィー検査の費用

光トポグラフィー検査を受けられる医療機関はまず「保険適用かどうか」で分けられます。

保険適用で受診出来るクリニックに関しては、1回の検査は5000円~1万円程度ですが、場所によっては入院が必要な所もありますので、その場合費用の負担は大きくなります。

現在は保険適用ではない医療機関が多いですが、そのようなクリニックでも大体13000円前後で一回の検査が受けられるので、どちらの場合もそこまで莫大な費用がかかってくるわけではありません。

都内では前者で東京大学医学部付属病院、後者で新宿ストレスクリニックなどが挙げられます。

 

光トポグラフィー検査の危険性・副作用など

光トポグラフィー検査

光トポグラフィー検査では、前述した通り近赤外光を頭部の前頭葉部位に照射し脳内の血流を測定します。その際に使われる光は身体には全く無害のものであり、からだへの悪影響は一切ないとされています。

あくまで「検査」の為、うつ病に対しての治療を行うわけではなく、検査の際には副作用などもありません。

国内でも安全な検査方法として広く認められています。

 

 

光トポグラフィー検査についてのまとめ

 

現在うつ病患者は全国でも増加の一途をたどっています。

うつ病自体が周囲に理解されづらい病気の為、自らがうつである事を認められない、または、周囲の目を気にしてうつ病である事を公表できずにいる方も多くいます。

 

これまでは問診などがメインだったため、自らのうつの状態をはっきりと認識する事はとても困難を極めました。この「光トポグラフィー検査」では、そういったうつにお悩みの方が数値でうつ病診断が出来る、国内唯一の方法なのです。

 

光トポグラフィー検査自体はうつ病の治療を行うものではありません。

ただ、自らのうつの状況を客観的に可視化する事によって、これまで治療が難航していた患者も有効な治療法が見つけられたり、違う角度からの治療を発見する事が可能になるのです。

現在、うつの治療を続けているけれど効果がまったく見られない……。という方は、一度光トポグラフィー検査を試してみるのもいかがでしょうか?

投稿日:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© うつ病克服クラブ , 2024 AllRights Reserved Powered by AFFINGER4.