うつ病の知識

うつ病とアルコール依存症が併発する2つの原因と守って欲しい大切なこと

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アルコール依存症とうつ病。みなさんどちらの症状も一度は聞いたことがあると思いますが、アルコール依存症とうつ病は併発しやすい症状だということを知っていましたか? 今回はなぜアルコール依存症とうつ病が併発しやすいのか、そして守って欲しい大切なことをお話したいと思います。

 

お酒を飲んで不安を消し、睡魔を誘う

なぜアルコール依存症とうつ病は併発しやすいのでしょうか? 細かく見ていくと様々な理由がありますが、ここでは主な2つの原因について話していきます。

 

<漠然とした不安から逃れるため>

うつ病になると将来に対して漠然とした不安感が襲ってきます。「誰だって不安ぐらいあるさ」と思う人も多いと思いますが、うつ病のときの不安感は健常者が感じる不安とはまったく異なります。

うつ病のときに感じる不安は文字通り現実逃避したくなるほどつらく、苦しい不安が身体を襲います。仕事や趣味に手をつける余裕はなく、ときには布団のなかで頭を抱え込むようなこともあるほどです。

このような強い不安感から逃れるために、ついついお酒を飲みすぎたり、毎日お酒なしではやっていられないような状態になってしまいます。

 

<眠るためにお酒を飲みすぎてしまう>

うつ病の身体症状のひとつに睡眠障害があります。うつ病のときに起こる睡眠障害とは「夜、眠れない」「長時間眠ることができない」「眠っても眠りが浅い」などが挙げられます。

うつ病のときに抗うつ剤と睡眠薬をセットで処方されることが多いのは、このような睡眠障害に対応するためです。

しかし、睡眠薬には脱力感や頭重感などの副作用があり、気軽に服用できるような薬ではありません。そのため、元々お酒が好きな人やお酒を飲める人は「酒を飲んだほうが気持ちよく眠ることができる」という判断にいたり、睡眠薬ではなくお酒の力で眠りを誘おうとしてしまいます。

また、睡眠薬だけでは不安感を消すことはできません。不安を消して、さらに眠気を誘うことができるお酒がより一層、魅力的に感じてしまい、ついつい飲みすぎてしまうのです。

 

うつ病とアルコール依存症は常に隣り合わせ

うつ病の人がアルコール依存症にもなりやすい原因についてお話ししましたが、逆のパターンも多く、アルコール依存症の人がうつ病を併発することがあります。

 

「不安を取り除くことができて眠りやすいのだから、別にお酒を飲んでもいいのでは?」

 

確かにお酒は百薬の長と呼ばれることもあり、お酒を飲むこと事態には大きな害がないように思っている人も多いでしょう。

しかし、これはあくまで適量のお酒を飲んだときの話です。適量以上のお酒を飲んでしまえば、お酒は身体に害を及ぼす場合が多いと言われています。

やけ酒という言葉があるように人は仕事で失敗をしたときや失恋をしたときなどに、ストレスや悲しいことを吹き飛ばすためにお酒を大量に飲むことがあります。ストレスや不安が多いと人はお酒の力に頼りすぎることがあり、常習的に適量以上のお酒を飲み続ける結果、アルコール依存症になり、ストレスや不安からうつ病を誘発してしまうケースがあるのです。

 

うつ病とアルコール依存症の組み合わせは最悪!?

うつ病とアルコール依存症を併発した場合、両者の組み合わせは非常によくありません。なぜならうつ病の患者に処方される抗うつ剤や抗不安薬というのは、お酒を飲むと効果が弱くなってしまうからです。

うつ病の治療方法には抗うつ剤での治療だけでなく、磁気刺激治療やカウンセリングによる精神療法など複数の治療方法がありますが、現状は抗うつ薬による治療が多いです。そのためお酒を飲むことで抗うつ薬の効果を下げてしまえば、いつまでたってもうつ病を改善することができなくなってしまいます。

もちろんお酒を飲むと抗うつ剤の効果が下がるというのは事実ですが、お酒を飲むことで著しく体調が悪化するということはありません。例えば抗うつ剤としてよく処方されるデプロメール錠(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の添付文書には”服用中は飲酒を避けることが望ましい”と記載されています。つまり、お酒を絶対に飲んではいけません!ということではないのです。

しかし、抗うつ剤の服薬中にお酒を飲むことにメリットはなく、デメリットしかありませんので断酒したほうがいいでしょう。

 

飲んでしまったときは必ず担当医に伝えること

うつ病とアルコール依存症を併発してしまった人が担当医から「抗うつ剤を服用している間は断酒してください」と言われたところですぐに実践することができるでしょうか?

人間の意志力はそこまで強くありません。ましてやアルコール依存症になるほどお酒を飲んでいた人がピタッとお酒をやめることは非常に難しいでしょう。

アルコール依存症の人は家族や医者からお酒を飲んではいけないと注意されても隠れてお酒を飲んでしまうことが多いです。そして、お酒を飲んでしまったことを黙って隠そうとしてしまいます。

1日のうちの長い時間をともに過ごしている家族なら隠れてお酒を飲んでいることに気づくチャンスがあるかもしれませんが、通院したときにしか対面することがない医者が隠れてお酒を飲んでいるかどうかを把握するのは難しいでしょう。

 

「お酒も飲んでいないようだし、きちんと薬も服用している。だけど体調の改善が一向に見られないのはどうしてだろう?」

 

本当は患者がお酒を飲んでいるせいで抗うつ剤の効果が弱くなり、体調の改善が遅れているにもかかわらず、担当医がその事実を知らないのであれば対応のしようがありません。

うつ病とアルコール依存症を併発している人は、隠れてお酒を飲んだとしても、必ずお酒を飲んでいることを担当医に伝えましょう。そうしなければ治療方法を変えることもできず、いつまでたっても両方の症状が治らないままになってしまいます。

私が以前、うつ病だったとき、抗うつ剤と睡眠薬の効果が強すぎたためか、副作用がきつく、そのことを担当医に伝えました。伝え方も曖昧な言い方ではなく、しっかりと正確に伝えることで私の担当医は減薬をして、しばらく様子を見てみようという処置をとってくれました。

もしも私が「抗うつ剤と睡眠薬の副作用はあって当然。わざわざ担当医にいうまでもないだろう」と判断し、副作用がきついことを伝えなかったら必要以上の抗うつ薬と睡眠薬の服用することにより、治るのが遅くなっていたかもしれません。

うつ病とアルコール依存症を併発しているときにお酒を飲んでしまった場合、どれぐらいの量を何時間で飲んでしまったのか、飲んだときの状況をなるべく細かく担当医に伝えるようにしましょう。あなたの説明が嘘がなく、正確なほど、次の対応を取りやすくなるのです。

 

ゆっくり、確実に体調を改善させるのが大切

うつ病とアルコール依存症はそれぞれ片一方の症状だけでも治していくのが大変です。両方の症状を抱えている場合はさらに大変でしょう。まずは病院へ行き、治療を始めること。そして、慌てずゆっくりと改善させていくことが大切です。自分の力だけで改善しようとは考えず、家族・友人・担当医など、周囲の人たちに協力してもらいましょう。協力してもらうことは何も恥ずかしくありません。なぜなら周囲の人たちはあなたの症状が回復することを何よりも望んでいるからです。

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