うつ病の知識

うつ病から克服するための第一歩はきっかけを知ることにある

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いつ誰がなってもおかしくないうつ病ですが、人生つらいことや頑張らなければいけない時期というのは必ずあります。どこまでが大丈夫でどこからがダメなのか、その判断を見極めるためにもうつ病になるきっかけを知っておくことはとても大切なことです。また、きっかけを把握しておくことは、うつ病の克服にもつながります。そこで今回は私自身の体験を中心に、うつ病になってしまうきっかけについてお話ししていきます。

 

出産や結婚などの嬉しい出来事がきっかけになることがある

日本においてうつ病は知らない人がいないくらい有名な精神疾患になりつつありますが、未だに多くの人が誤解していることがあります。それはうつ病が発症するきっかけが精神的苦痛から来るものだと考えられているということです。

もちろん精神的苦痛がきっかけでうつ病が発症することはありますが、実はそれ以外にもあります。ここではうつ病のきっかけとして考えられることについて、4つ取り上げてみました。

 

  • 子どもの出産や結婚、新しい会社を設立することによって感じるプレッシャー
  • 入院してしまうような大きな病気やケガを患うことで感じる将来への不安
  • 家族や仲がよかった友人が不慮の事故で亡くなってしまったことによって生じる精神的ショック
  • 退職や失業、育ててきた子どもが家を出るなど、今まで積み上げてきたものがなくなってしまう精神的な孤立や喪失感

 

注目して欲しいのは一番最初の出産や結婚です。一般的に考えて出産や結婚というのは誰もが祝福してくれるような喜ばしいものですよね。当然、本人にとっても嬉しい出来事なのですが……

「子どもを立派に育てることができるだろうか?」

「新婚生活はうまくいくだろうか?」

「景気が悪いのに、自分の会社はうまくいくのだろうか?」

喜ばしい出来事でも、これから先の未来に対してプレッシャーを感じてしまうことは誰もが経験することでしょう。

このように仲が良い友人との唐突な別れや失業など、原因そのものがマイナスな状態からスタートするものもあれば、出産や結婚のように原因は明るいものだけれど、結果的に不安やプレッシャーを感じることでうつ病のきっかけになることもあります。

また2番目に書いてある病気やケガも精神的苦痛とは少し、意味合いが違います。病気やケガも結果的には将来に対する不安がうつ病のきっかけになる可能性が高いのですが、そもそも病気やケガをしなければうつ病のきっかけを作らなくても済むはずです。

つまり、普段から病気やケガに注意することで、うつ病になるきっかけを減らすことができるとも言えます。

うつ病のきっかけは悲しい出来事だけでなく、出産や結婚などの嬉しい出来事や病気やケガといった身体に直接起こる出来事もきっかけになることがあるのです。

 

うつ病になってしまったきっかけ(体験談)

では、実際に私がうつ病になってしまったきっかけについて話していきます。

結論から言いますと、私の場合は過度な仕事による精神的ストレスからうつ病になってしまいました。よくありそうなパターンですが、詳細を知ることでこれを読んでいるあなた自身がうつ病のきっかけを作らないための予防策を張ることができると思っています。

私の場合、うつ病になってしまったきっかけは3つあると考えています。

 

  • 被災地の悲惨な現状を目の当たりにしたことによる精神的な強いショック
  • 被災地と東京で過ごしている人たちの生活の違いへの違和感と苛だち
  • 毎日の出勤が嫌になるほど過酷な仕事環境

 

直接的なうつ病のきっかけは3番目の過酷な仕事環境ですが、1番目の時点でうつ病の予兆はあったのかもしれません。

当時、私は建築関係の仕事をしており、東日本大震災が発生してから約3週間後、私は直接現地に乗り込み、仕事をすることになりました。

現地の状況はみなさんご存知の通り悲惨な有様でした。ただし、テレビやインターネットなど、画面を通して見る世界と実際に自分の目で見る世界はあまりにも違いました。私は現地へ乗り込んだ初日、自分を含めた4人の仲間で車に乗り、被災地を回ったのですが、みんな会話をすることができず、文字どおり言葉を失うほど状況はひどかったです。このときの精神的なショックがうつ病の原因のひとつになっていると思います。

その後、約8ヶ月間に渡り、宮城県を中心に仕事をし、東京へ戻ってきました。しかし、東京へ戻ってきてから新たに苦しい精神状態に追い込まれることになります。

それは被災地にいる人たちと東京にいる人たちとの生活の違いによる苛だちでした。

東京から車で4時間ほどで行ける距離の人たちが震災の被害で苦しんでいるにも関わらず、東京にいる人たちはいつもと変わらない日常を過ごしていました。

「同じ日本で、しかもそんなに遠く離れていないのに、こんなにも現実が違う……」というギャップに耐えることができず、見ず知らずの人たちに対して常にイライラしている状態が続いたのです。

今にして思うと東京にいる人たちがいつも通りの生活をすることは大切だということは理解できますが、当時の私はそれを理解することができませんでした。

このような悶々とした状態を3年以上過ごしている私に、身も心もボロボロになるような仕事が舞い込んできました。その仕事をするのは本当に嫌で、私は途中から休みがちになってしまい、とうとう約2ヶ月間も仕事に出れないような状態になってしまったのです。

「このままではいけない」と思い、1日だけ仕事に出たのですが、やはり体調が良くなく、次の日は休みをいただくことにしました。

そして、休み明けの仕事前の早朝、動悸が激しくなると同時に漠然とした不安感、そして異常なまでの発汗作用が起こり、その日のうちに精神科へ行ったところ、うつ病だと診断されました。

被災地にいるときは気を張っていたこともあり、身体の不調はあまり感じなかったのですが、東京へ戻ってきてから精神状態を安定させるのが本当に大変でした。もしかすると、この時点で軽いうつ病か気分変調性障害だったのかもしれません。

もしも私が東京へ戻ってきたときに、一度でも病院を訪れていれば、ひどいうつ病で苦しむこともなかったのかもしれないです。

 

きっかけはうつ病を克服するために重要なカギとなる情報

実はうつ病を克服することにおいて、何がきっかけでうつ病になってしまったのかを把握することは非常に重要なポイントです。なぜなら、きっかけになったことから逃げなければいけないからです。

先ほど話した私の場合ですと、被災地でのショックと東京へ戻ってきてからのイライラも、うつ病になる前兆にはなっていたのかもしれませんが、直接的なきっかけではありませんでした。

私の場合は間違いなく東京での過酷な仕事環境でしたので、まずはそこから逃げることを選びました。実際、担当医からもうつ病と告げられたその日に「仕事はしばらく休んでください」と説明されました。

最終的に私は建築の仕事をやめることにしました。うつ病の直接的なきっかけは仕事だとわかっていましたし、正確に言うと続けることは不可能だと感じました。

もしも私がうつ病のきっかけをわからず、しばらく仕事を休んだあと、再び仕事復帰していたらうつ病を再発させていたかもしれません。うつ病は再発のリスクが非常に高い精神疾患なので、治ったら終わりなのではなく、治ってからも体調を維持するのがとても大変なのです。

ですから、うつ病のきっかけが一体何だったのかを把握しておくことは”うつ病を早く治すこと、そして再発のリスクを減らすこと”につながると私は実感しました。

うつ病は個人個人によって症状や治療方針も細かく違うとは思いますが、きっかけになったことから距離を置くことがうつ病を克服するための第一歩になると私は信じています。

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