うつ病の知識

仮面うつ病にならないために意識したい3つポイント

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みなさん”仮面うつ病”という名称を聞いたことがありますか? おそらくほとんどの人が一度も聞いたことがない病名だと思います。しかし、あなたが思っている体調不良は、もしかすると仮面うつ病の可能性があります。そこで今回は仮面うつ病の症状と仮面うつ病にならないためのポイントをお話ししたいと思います。

 

仮面うつ病とはうつ病の身体症状が目立つ人のこと

仮面うつ病とは一体、どのような症状のことをいうのでしょうか? 仮面うつ病の主な症状は下記の通りです。

  • 腹痛
  • 頭痛
  • 倦怠感
  • 不眠
  • 下痢

通常のうつ病の場合は、「意欲の低下・集中力が続かない・今まで好きだった趣味や仕事を好きだと感じることができない」など、精神面にも乱れが生じます。

しかし、仮面うつ病はひとつひとつの症状を見ていくと、うつ病とはまるで関係がないように思えます。腹痛は誰だって経験するものですし、ストレスが溜まれば一時的に不眠になることもあるでしょう。疲れていれば倦怠感を感じることもありますよね。

おそらく当人もこのような症状に悩まされたとしても、「自分は仮面うつ病だ!」という結論に達することはないでしょう。下痢や腹痛になれば、普通に内科へ受診しに行くはずです。

しかし、内科で処方された薬を飲み続けても、一向に体調不良が改善しないことがあります。原因を探してもなかなか見つけることができません。

ところが治療方針をうつ病の治療へ変更したところ、今まで改善されなかった体調不良が良くなっていくことがあります。

実はうつ病というのは精神症状と身体症状の両方の症状があり、うつ病の身体症状には上記に挙げた腹痛・頭痛・倦怠感などが含まれています。
このように”うつ病の精神症状が少なく、身体症状が出やすい人のこと”を仮面うつ病と呼びます。

 

治療方法がうつ病の治療でなくては改善されない

仮面うつ病の厄介なところは腹痛や頭痛といった身体症状がうつ病の治療方法でないと改善されないところです。そのため内科に通い続けているにも関わらず、体調不良が改善されないという人は、一度精神科やうつ病専門のクリニックへ受診しにいったほうがいいでしょう。

「長期間、治らないのであれば、内科でも仮面うつ病かもしれないと助言してくれるのではないですか?」

このように考える人もいるかもしれませんが、「お腹が痛いです」と行って内科へ受診すれば、当然医者は腹部や胃腸系に原因があるのではないかと考えます。少なくても短期間で仮面うつ病だという結論に達するのは難しいでしょう。

 

「内科から処方されている薬を飲んでも効果が実感できない」

「繰り返し検査を受けても原因がわからない」

 

上記のように長期間、体調が改善されない場合や原因不明の身体症状がある場合は仮面うつ病かもしれないという疑いを持ったほうがいいでしょう。そして、なるべく早く治療方針をうつ病の治療へ変更することが大切です。

 

仮面うつ病になりやすい人は”メランコリー親和型”

仮面うつ病は軽度のうつ病で精神症状よりも身体症状が目立つ人のことを指します。つまり、仮面うつ病になりやすい人とうつ病のなりやすい人は、ほとんど共通しているのです。

では、仮面うつ病や通常のうつ病になりやすい人にはどのような傾向があるのでしょうか? よく言われているのがメランコリー親和型の人です。メランコリー親和型とは下記のような人のことを指します。

  • 完璧主義者
  • 責任感がとても強い
  • 自分に厳しい
  • ルールを破ることを許さない
  • 真面目や几帳面な人
  • 誠実な人
  • 周囲の人間との争いを避ける(調和を保とうとする)

メランコリー親和型の人は自分よりも他者を優先し、自分を犠牲にしてでも他者のために頑張ろう、尽くそうとする人が多いです。

もしもメランコリー親和型の人が、自分自身に対する評価や性格が悪いのであれば、自分の性格を見直そうと改善するかもしれません。

しかし、メランコリー親和型の人は他者からの評価が良い場合が多く、いわゆる典型的な”いい人”が多いです。そのため自分がメランコリー親和型だとわかっていても、見直そうとはせず、結果的に自分を極限のところまで苦しめてしまう傾向があります。

 

仮面うつ病にならないために注意したいこと

仮面うつ病になりやすいメランコリー親和型の人は自分の性格や考え方を見直すことで、仮面うつ病や通常のうつ病になるリスクを軽減することができます。

しかし、過去にうつ病を経験した私も実感しているのですが、メランコリー親和型の考え方や性格を変えるのは簡単ではありません。改善していくのは難しいと思われますが、それでも意識しておきたい大切なポイントが3つあります。

 

<とにかく早めに病院へ行くこと>

メランコリー親和型の性格・考え方を変えることできない人にとって、もっとも効果的で実践的なやり方が早めに病院へ行くことです。

通常の病気やケガと同じように仮面うつ病のような精神疾患も治療が遅れれば遅れるほど、完治するのが大変になります。初期段階のうちに病院へ行くというのが、かなり効果的な方法なのです。

先に話したようにメランコリー親和型の人は他者を頼りにせず、すべて自分でなんとか解決しようと考えるため、病院へ行くタイミングも遅くなりがちです。少しでも体調不良を感じたら、まず病院へ行くことをお勧めします。

 

<メランコリー親和型を肯定すること>

矛盾していると思う人もいるかもしれませんが、メランコリー親和型を否定するのではなく、肯定することも大切です。仮面うつ病や通常のうつ病になりやすい性格とはいえ、そもそもメランコリー親和型は悪いことではなく、むしろ良いことだと思います。

ただし、極端すぎて自分を追い込みすぎるとどうしても仮面うつ病を発症しやすくなります。

「自分はメランコリー親和型だから仮面うつ病になりやすい」ということを自分自身で理解しておくことも重要です。

 

<ストレス発散のために睡眠時間を確保すること>

メランコリー親和型の人はどうしてもストレスを溜めてしまいがちです。このようなとき、人は「ストレスを溜めないためにはどうすればいいのだろう?」と考えることが多いですが、原因そのものを改善するのは非常に難しいことです。

「ストレスを溜めないためにはどうすればいいのか」ではなく、「溜めたストレスを発散するためにはどうすればいいのか」という考え方にシフトしましょう。そのためにはストレス発散方法をいくつも持つことが重要なのですが、なかでも重要なのが睡眠です。

しっかりとした睡眠はストレス発散にも高い効果があると言われています。どんなに忙しくても睡眠時間を削るような真似はなるべくしないほうがいいでしょう。

もしも、睡眠時間を削らなければいけないほど仕事や育児など忙しい場合は、一度、見直す必要があるでしょう。結局、体を壊してしまえば仕事の効率は下がってしまいます。仮面うつ病になる前に、自分の生活リズムを正しくする必要があります。

また、よく眠ることができないという人は、眠れなくても横になりましょう。人は眠らなくても横になるだけで体力を回復することができます。眠れないから起きて活動する、ではなく、眠れないけど横になっておくという癖をつけておきましょう。

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