うつ病の治療といえば投薬治療や認知行動療法が主流であり、それ以外の治療方法に関しては知らない人も多く、まだまだ世間に認知されていない治療方法があります。そのうちのひとつが磁気刺激治療です。では実際、磁気刺激治療はどのような効果があるのでしょうか? 今回は磁気刺激治療の効果とメリットについてまとめました。
磁気刺激治療は副作用が少なく、安全性が高い治療方法
うつ病の原因と聞くと、職場や家事・育児によるストレス(環境的要因)をイメージする人が多いのですが、もうひとつ、大きな原因があると考えられています。
それは”脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっている”ことです。
うつ病の患者の脳内を調べると、血流や代謝が低下していることがあります。「磁気刺激治療がどうしてうつ病に効果があるのか?」というのは、脳内にある特定部位に働きかけることにより、低下した脳内の機能を良くするからなのです。
磁気刺激と聞くと、なにやら危ないイメージを持つ人もいるかもしれませんし、まだまだ世に知られていない治療方法なので効果があるのか不安に思う人が多いかもしれません。
しかし、磁気刺激治療は副作用も少なくて安全性が高く、効果も期待できる治療方法なのです。
磁気刺激治療はうつ病以外の病気にも効果がある
磁気刺激治療はうつ病だけでなく、下記の病気にも効果があります。
- うつ病
- 双極性障害(躁うつ病)
- PTSD(心的外傷ストレス障害)
- 強迫性障害
- パニック障害
ほかにも磁気刺激治療は不安障害や慢性疼痛にも効果があると言われています。
磁気刺激治療を受けるのに向いている人とは?
うつ病の治療には投薬治療や認知行動療法があるにもかかわらず、どうして磁気刺激治療を推奨する人たちがいるのか気になる人も多いでしょう。
実は磁気刺激治療を受けるのに向いている人がいます。
<投薬治療や認知行動療法で満足いく結果が得られなかった人>
磁気刺激治療はうつ病の治療で投薬治療や認知行動療法を試したものの、満足いく結果や効果を実感することができなかった人に向いている治療方法です。
実際に体験談や口コミでは投薬治療や認知行動療法では、なかなかうつ病が治らなかったが磁気刺激治療に治療方法を変えたことで、うつ病が改善されたという人たちがいます。
<薬の副作用がツライ人>
うつ病の投薬治療では主に睡眠薬と抗うつ薬を服用することになるのですが、この2つの薬には副作用があります。
投薬治療の大きなデメリットはこの薬の副作用にあります。実際、多くのうつ病患者が薬の副作用に悩まされており、本当は毎日、服用しなければいけないのに副作用がツラく、担当医に黙って薬を飲まないという人もいるほどです。
磁気刺激治療では薬を服用しないため、薬による副作用を心配する必要がありません。また、磁気刺激治療は治療中に頭皮痛や歯痛を感じることはあるものの、副作用はほとんどなく治療を進めることができます。
そのため、投薬治療による薬の副作用で悩んでいる人に向いている治療方法と言えます。
<治療期間が短くて済む>
磁気刺激治療は患者の症状及び病院・クリニックによって詳細は異なりますが、一般的に計30回前後で治療を完了することができます。仮に週4〜6回、磁気刺激治療を受けた場合、6週間程度で治療を終えることができます。
この治療期間の短さはほかの治療方法に比べ、圧倒的に短いです。磁気刺激治療はうつ病の治療をなるべく短期間で終わらせたい人に向いている治療方法と言えます。
磁気刺激治療のデメリットとは?
「投薬療法のように薬の副作用の心配がない」
「磁気刺激治療そのものが副作用が限りなく少ない治療方法である」
「投薬療法や認知行動療法で効果がなかった人も磁気刺激治療に治療方法を変更したことで効果を実感できることがある」
このように磁気刺激治療は投薬療法や認知行動療法にはないメリットが多々、あるのですが、当然デメリットもあります。
<治療のために通院しなければいけない>
磁気刺激治療を受ける場合、当然ながら通院しながら治療をしなければいけません。病院・クリニックが家から近ければ、そこまで大変じゃないかもしれませんが、仕事や家事・育児が大変な人にとって通院するのは大変なことです。
患者の症状や病院・クリニックによって詳細は異なりますが、一般的に磁気刺激治療は週に4回〜6回のペース(病院・クリニックによっては週1〜3回のところもあります)
で、合計30回前後、治療を行うことになります。(※回数はあくまで目安です)
1回の施術時間は30分〜1時間とそこまで長くはないものの、病院・クリニックに行くまでの移動時間や診察の時間を考えると、仕事や家事・育児が大変な人にとってはスケジュール調整が難しいでしょう。
治療ペースに関しては各病院・クリニックの診察時に相談できると思いますので、自分の生活リズムに合わせたスケジューリングが求められます。
<磁気刺激治療を受けられる病院・クリニックが少ない>
「スケジューリングが難しいのであれば、なるべく家から近い病院を探そう!」
通院でかかる時間というリスクを軽減させるために、なるべく家から近い病院・クリニックを探そうと思う人が多いはずです。しかし、現状、磁気刺激治療を受けられる病院・クリニックの数は少ないのです。
磁気刺激治療はアメリカ食品医薬品局(日本の厚生労働省にあたる)から、2008年に認可を得ている治療方法です。まだまだ新しい治療方法のため、実施している病院・クリニックには限りがあります。
そのため、近場で探そうと思っても実際、磁気刺激治療を実施している病院・クリニックを見つけるのは非常に難しいです。
<効果を実感するまでに時間がかかる>
磁気刺激治療を受けたからといって、すぐに効果を実感できるわけではありません。これはどの治療方法にも言えることなのですが、効果を実感するまでには時間がかかりますし、個人差があります。
磁気刺激治療を完了させるまでには、30回前後、磁気刺激治療を受けなければいけません。効果を実感するためにも、焦らず、しっかりと治療を受け続けることが大切になります。
<日本では保険が適用されていない>
残念ながら磁気刺激治療は日本でまだ保険適用されていません。
しかし、磁気刺激治療の保険が適用されないからといって、保険証を忘れないように注意してください。診察などの磁気刺激治療以外に関しては保険が適用されるので、磁気刺激治療を受けに行く場合は必ず保険証を持参しましょう。
このように磁気刺激治療を検討している人はメリットだけでなく、デメリットにも目を向けた上で治療に望みましょう。
投薬療法でうまくいかない人は磁気刺激治療を検討しよう
そもそもうつ病というのはまだまだ解明されていない部分が多く、これが絶対に効きます! という治療方法はありません。だからこそ私たちは投薬治療だけでなく、磁気刺激治療や認知行動療法など、自分のうつ病を治すのにもっとも効果的な治療方法は何なのかということを追求しなければいけません。とくに現状、主流である投薬療法で、なかなか自分の思い描く結果が出ていない人は副作用がほとんどない磁気刺激治療を試すことを一度は検討したほうがいいでしょう。